先達者の物語
偶然の出会いが生んだ商品が、国際線機内食に。
三好君枝さん(宇和ヤマミ醤油)
伝統の味がコラボレートしてできた、若者向けの一品
歴史的な建物が続く卯之町の町並み。その町並みを北に向かって歩くと、店頭からほのかに香ばしい香りが立ち込めます。宇和ヤマミ醤油は、明治の終わりに建てられた共同の醸造蔵を、1947(昭和22)年に先代が引き継ぐ形で創業しました。
こんこんと湧き出る井戸水と、米どころ宇和盆地で育まれた米を使用し、昔ながらの手作りで醤油を醸します。醤油だけでなく、製造工程で出た塩麹を原料とした甘酒も販売。道の駅などで評判を呼び、赤い古代米を使用した甘酒も展開しています。
三好君枝さん(69歳)は現・代表の奥様。普段は店頭に立ち接客やレジを担当、商品開発や手書きPOPなども手掛けます。実は古代米の甘酒も三好さんのアイディアによるもの。溢れるバイタリティでパッケージも自ら描きました。そんな三好さんが「売れるものづくりセミナー」を受講したのが5年前のこと。「開催場所が近くの集会所だったから」と、何気なく参加しました。
地域デザインを手掛ける講師のもと商品開発やPR手法について学びました。そのセミナーを一緒に受講していたのが三瓶町にある「三好うに加工所」の女性スタッフ。女性同士で意気投合した二人はスタッフの仲介のもと、共同で商品を開発することにしました。試行錯誤の末、完成したのが「うに醤油」です。うにの風味を生かしつつ、調味料としての醤油の機能性を大切にする、そのバランスに苦労したと言います。同社伝統の濃い口醤油に、うにを加えることでまろやかさがアップ。醤油としてはもちろん、ドレッシングやパスタソースとしても使用できる一品です。何よりも三好さんがうれしかったのは、狙い通り若い層に売れたこと。セミナーで習得したターゲティングの知識を活かしつつ、講師とともに一緒につくった商品パッケージが若者たちの心に響いたようです。
その豊かな風味と高い完成度は評判を呼び、国際線ビジネスクラスの機内食にも採用されました。三好さんご家族は機内食でうに醤油を味わおうと海外旅行に。その旅の思い出を描いたお孫さんの絵が、今も誇らしげに店頭を飾っています。
セミナーで学んだ、消費者目線の大切さ
- 商品を開発する際に、誰に売るのか、ターゲティングの大切さを学びました。
- パッケージやPRを工夫することで売上が大きく変わることを実感しました。
- 一緒に商品を開発した三好うに加工所さんや講師の先生など、その後の事業にも役立つネットワークを構築できました。
受講生へのひとこと
生産者であれば、良いモノをつくるのは当たり前かもしれません。でも、実際に売れて採算がとれなければ商売としては失格です。しっかりと収益があがることが次へのモノづくりへとつながります。そうした成功体験を、私はセミナーを通じて経験することができました。まずは一度でも良いのでセミナーに参加してみてはどうでしょう。きっと新たな発見や出会いがあると思いますよ。